午後の来訪者は、なぜか剣道着だった。
チャイムが鳴った。
予定はなかった。なのに、ドアの向こうには彼が立っていた。
剣道着姿で。
「……どうしたの、それ」
「これが俺の勝負服だ」
意味はわからなかったが、彼は真剣だった。
道着の前を開いたとき、彼の視線がまっすぐに私を捉えた。
「勝負、してくれるんだよね?」
なにが始まるのかは、彼の手が私の腰に伸びた時に察した。
剣道着からのぞく肌は熱を持っていて、
不思議なことに、その無骨さに妙な色気があった。
「一本、取るよ」
彼はそう言って私を抱き寄せた。
木の香りのする道着の生地が肌に触れる。
柔らかくはない。けれど、確かに心が乱れる。
「変な格好してるのに、なんでこんなに……」
言葉の続きを飲み込んだのは、
彼の唇が、静かに私の鎖骨を辿ったからだった。
部屋には剣の音も、試合の号令もない。
ただ、二人の呼吸と、布が擦れる音だけが満ちていた。
道着の帯が解けていくたびに、
私は少しずつ、彼の“勝負”に巻き込まれていった。
チャイムが鳴った。
予定はなかった。なのに、ドアの向こうには彼が立っていた。
剣道着姿で。
「……どうしたの、それ」
「これが俺の勝負服だ」
意味はわからなかったが、彼は真剣だった。
道着の前を開いたとき、彼の視線がまっすぐに私を捉えた。
「勝負、してくれるんだよね?」
なにが始まるのかは、彼の手が私の腰に伸びた時に察した。
剣道着からのぞく肌は熱を持っていて、
不思議なことに、その無骨さに妙な色気があった。
「一本、取るよ」
彼はそう言って私を抱き寄せた。
木の香りのする道着の生地が肌に触れる。
柔らかくはない。けれど、確かに心が乱れる。
「変な格好してるのに、なんでこんなに……」
言葉の続きを飲み込んだのは、
彼の唇が、静かに私の鎖骨を辿ったからだった。
部屋には剣の音も、試合の号令もない。
ただ、二人の呼吸と、布が擦れる音だけが満ちていた。
道着の帯が解けていくたびに、
私は少しずつ、彼の“勝負”に巻き込まれていった。