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    KOUTEIBEKKAN

    KABURAGISHIZUKI Diary

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    花火のつぎに終わるのは③

    10/13 11:45

    「こっちの方が遠回りやから人少ないねん。歩ける?下駄痛かったら近い方いくけど」

    「ううん、大丈夫。多分」
    「無理すんなよ。とりあえずそこのコンビニ入ってジュース買お。お菓子も欲しかったら好きなの選んでええで。バイト代入ったとこやから豪勢にどーぞ」
    公園前のローソンで、コーラとジンジャーエールを買った。とはいえ、結局ふたりとも他にはなにも買わなかった。
    店を出るなり、雄大は一気に3分の1ほどコーラを飲み干した。余程喉が渇いていたのだろう、なんだかおかしくって、少し緊張が解れる。私も真似をして、ジンジャーエールをぐっと傾けた。
    「それ、貸してみ」
    雄大は私のジンジャーエールをぱっと奪い去って、スキットルから液体を注いだ。
    「ほい、飲んでええで」
    再び開けたての量を取り戻したジンジャーエールが手元に返ってくる。
    そして雄大は、自分のコーラにも同じように液体を注いで、そのまままたぐいっと飲み込んだ。目の前で見ている限り、とりあえず危ないものではなさそうだ。
    「......いただきます」
    恐る恐る口に含むと、ジンジャーエールの味のあとにそっけない苦味とウッディな薫りが鼻を抜けた。
    ウイスキーだ。それも、かなり度数の高いやつ。
    「はじめて?」
    雄大が優しい目で問いかける。
    「いや、......じつは、何度か」
    「よかった。そっちちょっとちょうだい」
    「あ、ちょ......」
    「代わりに、俺の。どーぞ」
    ジンジャーエール割りのペットボトルが、返事をするより前に手元から消え、代わりにコーラのペットボトルが出現した。
    なんのためらいもなく口をつける雄大に、慌てて私もコーラ割りを口にする。
    間接キス、じゃん......
    なんて気にしているのは私の方だけで。
    同じシャーペンを使うのも恥ずかしがっていたあの頃の雄大はもういないんだ、って思い知らされたようで少し悔しくなったから、もう一口飲んでやった。
    味もへったくれもないコーク・ハイ、多分トラウマになって一生飲めないやつだ。
    「いこ」
    雄大は私の手を取り、先を歩きだした。
    ジュースのせいでひんやりした手のひらが、2年前より大きく、やわらかくなっている。
    時々酒を飲みながら、人気のない路地を縫うように進んでいく雄大。その半歩後ろを手を引かれながらついていくだけの私。
    2年前とはまるで大違いで、なんだか気持ちが悪い。

    花火のつぎに終わるのは③

    「こっちの方が遠回りやから人少ないねん。歩ける?下駄痛かったら近い方いくけど」

    「ううん、大丈夫。多分」
    「無理すんなよ。とりあえずそこのコンビニ入ってジュース買お。お菓子も欲しかったら好きなの選んでええで。バイト代入ったとこやから豪勢にどーぞ」
    公園前のローソンで、コーラとジンジャーエールを買った。とはいえ、結局ふたりとも他にはなにも買わなかった。
    店を出るなり、雄大は一気に3分の1ほどコーラを飲み干した。余程喉が渇いていたのだろう、なんだかおかしくって、少し緊張が解れる。私も真似をして、ジンジャーエールをぐっと傾けた。
    「それ、貸してみ」
    雄大は私のジンジャーエールをぱっと奪い去って、スキットルから液体を注いだ。
    「ほい、飲んでええで」
    再び開けたての量を取り戻したジンジャーエールが手元に返ってくる。
    そして雄大は、自分のコーラにも同じように液体を注いで、そのまままたぐいっと飲み込んだ。目の前で見ている限り、とりあえず危ないものではなさそうだ。
    「......いただきます」
    恐る恐る口に含むと、ジンジャーエールの味のあとにそっけない苦味とウッディな薫りが鼻を抜けた。
    ウイスキーだ。それも、かなり度数の高いやつ。
    「はじめて?」
    雄大が優しい目で問いかける。
    「いや、......じつは、何度か」
    「よかった。そっちちょっとちょうだい」
    「あ、ちょ......」
    「代わりに、俺の。どーぞ」
    ジンジャーエール割りのペットボトルが、返事をするより前に手元から消え、代わりにコーラのペットボトルが出現した。
    なんのためらいもなく口をつける雄大に、慌てて私もコーラ割りを口にする。
    間接キス、じゃん......
    なんて気にしているのは私の方だけで。
    同じシャーペンを使うのも恥ずかしがっていたあの頃の雄大はもういないんだ、って思い知らされたようで少し悔しくなったから、もう一口飲んでやった。
    味もへったくれもないコーク・ハイ、多分トラウマになって一生飲めないやつだ。
    「いこ」
    雄大は私の手を取り、先を歩きだした。
    ジュースのせいでひんやりした手のひらが、2年前より大きく、やわらかくなっている。
    時々酒を飲みながら、人気のない路地を縫うように進んでいく雄大。その半歩後ろを手を引かれながらついていくだけの私。
    2年前とはまるで大違いで、なんだか気持ちが悪い。

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