皮膚という境界線、触れる意味

皮膚は、人体最大の臓器であり、外界との境界線。


その表面には数百万もの感覚受容器が並び、わずかな温度、圧、振動を感知します。


しかしそれ以上に——
触れる、という行為は、生理学的にも心理学的にも「信頼の合図」です。



私は此処で、この“触れる”という行為をしています。

けれど、いつも自分が完全にリラックスしているかというと、そうでもありません。

初対面の方の前では、私もまた交感神経が優位になってしまう瞬間があります。

手が少し冷たくなったり、声のトーンが少し上ずったり。

皮膚の下で、私自身の迷いも確かに生じているのです。




それでも、ほんの少しずつ距離が縮まり、
お客様の呼吸が深くなり、眼差しがほどけていくのを感じると——

不思議なことに、私の心拍も整いはじめます。

まるで、互いの自律神経が同調していくように。






皮膚という境界線は、ただの物理的な膜ではなく、内と外をつなぐインターフェース。


だから私は、触れるときに「こちら側の緊張」も包み込むようなつもりで手を添えるのです。

それが、たとえ自分に余裕のない夜だったとしても。



そして思うのです。
“施術者である前に、人であること”の不完全さが。。
もしかしたら、ほんの少しだけ信頼を深くするのかもしれないな、と。






莉瑠🐈‍⬛🎀