つばき with ドラゴン
指名無しとは、どのような娘が待ちうけているかわからぬ。時にはそのような「興」(きょう)を楽しみたい。天下の波の上に在籍するお方は皆(みな)可愛くて優しい子ばかり「何卒(なにとぞ)当たりますように」 などと、願う必要もなし。期待を膨らませ、龍が如(ごと)く 待つ
初対面ゆえ、まずは「よろしくお頼(たの)み申します」と、挨拶を交わす。名は伏(ふ)せた。名乗るほどの物でもござらんゆえ
故郷は遠く、遠く離れた北の向こう。長旅であった。いざ風呂へ
小娘のように美しい肌と、母上のような優しさが、全身の疲れを洗い流す。これぞ極楽。「背中の傷は剣士の恥だ」などと言う緑頭(みどりあたま)の三頭龍(さんとうりゅう)も、このお方の前では、なす術無しであろう
風呂上がりに健康的な体から発せられる匂いをいっぱい、嗅ぐ。近頃の小娘はやたら香水を振り撒く。好かぬわけではないが、町へ繰り出せばいくらでも手に入る。それゆえ、つまらん。一方でここは良い。皆(みな)己の匂いで漢(おとこ)を酔わせる。それはここでしか、この娘でしか味わえないのである。無論、格別
酔いが回れば、なんでもできる。酔いが回れば、赤子にだってなれる。赤子は当然、乳を飲む。コクコク、コクコク飲む。形、ハリ、弾力、美味い。腹がどんどん、どんどん満ちていくではないでないか!
ただ、腹が満ちたからといって、寝る訳にはいかぬ。武士には、武士には立って行かねばならぬ時がある。「つばき殿、いかせてください」「うん、いって」・・・・・・あ〜〜れ〜
お し ま い
登載日期:2024年4月28日