月の裏で、待っている

月明かりだけが、私たちを照らしていた。
どこかわからない部屋。時計も、窓も、ない。
あるのは、シーツの上に落ちる影と、あなたの視線だけ。
「名前も、聞かないの?」
「夜には、いらない」
そう答えたあなたの手が、私の首すじをすべる。
爪の先、指の腹、熱くも冷たくもない感触が、なぜかゾクッとした。
まるで、夢の中の恋人みたいに──いや、もしかしたら本当にそうなのかもしれない。
レースの下着を脱がされても、羞恥より先に、不思議と“従順さ”が生まれた。
抗えないのではなく、抗う気が起きない。
だって、こんなふうに抱かれる夜を、私はずっと…どこかで待っていた気がするから。
「夜が明けたら、君はもう、いないのかもね」
囁きは甘くて残酷で、でも、やっぱり心地よかった。
月明かりだけが、私たちを照らしていた。
どこかわからない部屋。時計も、窓も、ない。
あるのは、シーツの上に落ちる影と、あなたの視線だけ。
「名前も、聞かないの?」
「夜には、いらない」
そう答えたあなたの手が、私の首すじをすべる。
爪の先、指の腹、熱くも冷たくもない感触が、なぜかゾクッとした。
まるで、夢の中の恋人みたいに──いや、もしかしたら本当にそうなのかもしれない。
レースの下着を脱がされても、羞恥より先に、不思議と“従順さ”が生まれた。
抗えないのではなく、抗う気が起きない。
だって、こんなふうに抱かれる夜を、私はずっと…どこかで待っていた気がするから。
「夜が明けたら、君はもう、いないのかもね」
囁きは甘くて残酷で、でも、やっぱり心地よかった。